味噌・醤油 服部醸造

「醸造会社はね、昔はいっぱいあったみたいですよ。八雲にもずいぶん多かったみたいですね」。
お話をうかがったのは、専務取締役の服部由美子さん。公私共に社長を支える存在でもあります。
「八雲ってご存知のとおりよく曇るのね、霧があって。おぼこ岳があって風が吹いて。低温多湿ということで、味噌や醤油などの醸造品には適した気候と言われていたみたいですよ」。

服部醸造株式会社は、昭和2年(1927)に創業。その社歴は、八雲町の歴史とともにあります。八雲町は、旧尾張藩徳川家のユーラップ開拓に始まりました。服部家の祖先は、その名古屋尾張藩に仕え、藩士一族とともに渡道したのだそうです。
「徳川さんがこちらにこられた時、土地の何かを…と考えて、気候ももちろんなんですが、大豆はとれるし米もとれる、そこで味噌や醤油をと始められたみたいですね」。
マルハチの印は、尾張八郡を象徴する尾張藩の印。服部家はその伝統ある技術と商標を受け継ぎ、醸造会社として歩み始めたのです。その歴史を絶やさずに担い続け87年、「マルハチのOKみそ」は、今やすっかり定着し広がりました。

味噌・醤油 服部醸造

すべて土地のもので味噌を作る

そうした伝統や技術をベースに、新しいチャレンジをしてきたのもまた服部醸造株式会社でした。
平成22年には、北海道経済産業局の農商工等連携事業として、八雲地区で採れた大豆、熊石地区の米と海洋深層水を使った味噌を製造しました。
「大豆や米はあっても、“塩”がないという地域が多い中、うちの会社の場合、周辺を眺めたらすべてが揃っている。すべて土地のもので味噌を作るというのは、他にはないこと!」
日本海と太平洋というふたつの海を持ち、勇壮な山々と美しい清流のある八雲町。その八雲町で採れた甘みの強い肉厚な大粒大豆を使い、熊石沖の水深300m以深で汲み上げられた海洋深層水を加えて仕込みます。その味噌種を伝統ある味噌蔵で7~8ヶ月かけてじっくりと熟成させ、低温多湿な気候の中でさらに寝かせた「手作り八雲」。良質な“地”のものだけを使い、時間をかけることで大豆と麹が持つ本来の力を引き出したその味噌は、じつに深い味わいがあります。服部醸造株式会社では、この「手作り八雲」を作ったことをきっかけに、製造するすべての味噌に、熊石海洋深層水を使うことにしたそうです。

味噌・醤油 服部醸造
味噌・醤油 服部醸造

本物のおもてなしをしたい

日本の和食が文化遺産になったのは昨年末の話ですが、その食文化を支えてきた味噌や醤油の作り手たちは、文化遺産にならずとも、「継承していきたい」という強い思いがあるに違いありません。
「ホテルの朝食には、大抵、お味噌汁はあるんだけど…、なんで日本なのにおいしいものを出さないんだろうっていつも思うの。だしもとっていないし、外国米と外国産の大豆にインスタントのグルタミンサンを入れた味噌で…。商談会かなんかで、ホテルの方とお会いする機会があるので話すんですけど、まずは価格ありきなんですね。原価が…と。これからはオリンピックも始まって、外国の方たちがお見えになるとなったら、日本を代表する食事は和食ですし、本物のおもてなしをしたいですよね。だって、朝のバイキングいくと、みなさんお味噌汁飲んでますよね。みんな飲むじゃない! だったら、おいしいものを! と思いますよね」。
まさしく、味噌汁とご飯こそ、日本の“和食”の原点。本来の味が並ぶ御膳は、立派に“おもてなし”に通じます。

(取材・文/山本直美)

味噌・醤油 服部醸造

服部醸造株式会社 | 二海郡八雲町東雲町27 | 0137-62-2108 | http://www.maru-8.net