お菓子 おたふく堂

「函館豆乳しふぉん」と言うシフォンケーキ

…そのスイーツをどう表現したらいいだろうと考えていました。シフォン特有の、“ふわふわ”や“しっとり”はもちろんのこと、なめらかできめ細やかな口当たりの中に、なんとも言えないもっちりした感じと、ふわりとやさしい香りも有るのです。食べたことがあるはずなのに、そのシフォンケーキは他のものとは少し違う味わいと食感…。
作っているのは、中道町にある「函館おたふく堂」。暖簾もしかり、印に模した看板もしかり、一見すると店の構えは和菓子屋さんです。入り口の引き戸を開け、中に入ると小分けされたさまざまなお菓子が所狭しと並んでいます。シフォンケーキ、ボーロ、ドーナツにフィナンシェ…等々! 材料はすべて、豆乳やおからなどで作られています。

お菓子 おたふく堂
お菓子 おたふく堂

開店当初からの看板商品『函館豆乳しふぉん』は、その原料に「豆笑」の時から使っていた今金産の「鶴の子大豆」を使い、製法も変わらずに仕上げています
「『函館豆乳しふぉん』の甘さって、鶴の子大豆の甘さなんですよ。グラニュー糖だけじゃないんです。他のシフォンより豆乳を2倍入れているんですよ。そこまで入れるとね、甘みがぜんぜん違ってくる。喉越しに豆乳の香りがするくらいにね。そして砂糖も油も少なくて済むんです。大豆を使っているからヘルシーってことじゃなく、そういう作り方をしているから、ほんとうの意味でカロリーオフで体にいいんです」。
たしかに「鶴の子大豆」は、近郊で作られている大豆の中でも、特に糖質中の「ショ糖」の割合が非常に高く、豆の自然な甘さが強いと言われています。その持ち味を存分に生かしたのが『函館しふぉん』なのです。他にはないなとそう感じた味わいに合点がいきました。

お菓子 おたふく堂

ごぼうやかぼちゃ、トマトなど、野菜のバリエーションも多いおたふく堂の「しふぉん」の中には、厚沢部町で作られた糖度25%の「紅あずま」や、七飯町に一本しかない「バーグンディ」という林檎を使った季節のものもあります。
「手間だし、たいへんだし」とは言うものの、あくまでもパウダーを使わないことにこだわるのは「そのほうがおいしいから」とシンプルなものです。地域の素材との出会いもそれが基準。「どんなにいい素材があっても、商品化した時にそれがイコールかというとそうではない。もちろん素材と出会うタイミングもありますが、原料として確保できる量や鮮度の問題もあるし。お菓子にした時に、うちのレシピに素材が合うのか合わないのかということもあるでしょう」と久保田さんは言います。食品のコンサルティングという、久保田さんのもうひとつの仕事が垣間見える言葉です。

お菓子 おたふく堂

お菓子 おたふく堂

「年齢的にはちょっと遅いスタートでしたけど、店の仕事は、子供を育てるみたいに、だんだん大きくなっていく、夢があっていいですよ。ただ、どこまでと言うのがね…。すごく大きくしようとは思っていないけど、かと言って今のままだと中途半端すぎるしね」。
店には『函館豆乳しふぉん』に惚れ込んだ東京や大阪の百貨店のバイヤーが、毎年来られているそうですが、今の人員と作業場のスペースでは・・・、と思案しているところです。
昨年のGWには「店にモノがなくなちゃって、暖簾を下ろしてみんなで中で作っていたんですよ」と苦笑します。店の前が渋滞になったそうです。
「今年の目標は、秋までに工場を用意をしたいなと思っているんです。工場というよりも、今ある作業場を移し、冷凍設備を完備した生産場所をというか。将来的には、店以外の販売も人任せじゃなく、小さなアンテナショップも東京にと。そんなふうに思ったのは、8年やってきたという自信があるから。8年間やってきた結果を実証するために、投資してもいいかなと思っているところです」。

“商品を育て販売するプロ”でもある久保田さん。商品も店も、まだまだ育て上げている最中なのです。

お菓子 おたふく堂

(取材・文/山本直美)

函館おたふく堂 | 函館市中道1-22-5 | 0138-32-2300 | http://hakodate-otafuku.com