たまふくら

北海道は、大豆の作付面積・収穫量ともに日本一で、基幹作物である水稲や馬鈴薯などの安定栽培の維持からも重要な作物のひとつになっています。
みなみ北海道でも、以前から大豆の生産は盛んでしたが、他地域と競合しない新たな晩生大豆の品種化が求められていました。そんな中、平成19年に北海道立農業試験場育種によって品種化された大豆が「たまふくら」です。

たまふくら

このたまふくらの誕生は、当初の輪作体系の維持という目的のみならず、「新しい地域の特産品」として期待されたものでした。
ただ一方で、生産の難しい大豆でもありました。ダイズシストセンチュウ(病害虫)に抵抗力のない品種であり、何より致命的なのが発芽率の悪さでした。
試験栽培から6年。改良の研究は試行錯誤を重ねつつも足踏み状態で、生産者はそうした前提の中、畑の大豆と日々向き合ってきました。

たまふくら

たまふくらは、5月の中旬くらいまでには整地して、種を巻きます。夏の時期はひたすら防除し、9月には枝豆として出荷されます。その後、全体が乾いて黒っぽくなり、葉が自然に落ちさやだけになったら、大豆として収穫するのだそうです。収穫は、毎年およそ10月末くらいから始めて11月中には終え、その後、乾燥作業に入ります。風土にあった晩生種の中でも、収穫時期が遅い分、うまみもまた比例して増していきます。
乾燥の施設は個々で持っており、磨きや調整選別はグループで場所を保持しそこで共同で行ないます。すべての作業を終え、出荷するのは2月。倉庫の中とは言え、寒い気候の中、収穫後の作業が続きます。

たまふくら

「こんな大豆見たことない」、「味が他の大豆とぜんぜん違う」

お二人は、昨年2月、東京・有楽町の“どさんこプラザ”で開かれた催事に、たまふくらの生産者として同行しました。店頭に立ち、たまふくらの豆や納豆、豆腐、甘納豆を試食してもらい、アンケートに記入してもらい…と消費者と直に向き合ったことで「ただの黄大豆だべや」と思っていたたまふくらを見直したと言います。
「おいしい」、「こんな大豆見たことない」、「味が他の大豆とぜんぜん違う」等々、たくさんのお客様からの声をもらい、市場で「こんなに評価されでると思わながったよ。うちらはいっつも畑にしか居なくて、外にでることがなかったからね」と、この機会に感謝したと言います。

たまふくらを原料として多くの加工品を作っている、だるま食品本舗の工藤社長は「うまみがあることはもとより、大豆としての加工適正が広く、加工するにもいろんな取り組みができるなと思っています」と話します。たまふくらを使って甘納豆を作っている石黒商店のご主人も「最近のものは、当初のたまふくらより、すいぶんおいしくなってきている」と評価します。
たしかに、たまふくらを一度口にすれば、おそらく誰もが明らかに他の大豆との違うとわかるほど、深い味わいを残します。
それをお二人に伝えると、「だれがが、畑さ、砂糖蒔いでんじゃないべが」とふざけます。「たいした儲かんないよ。儲かんないんだけどさ、うちらは作り続けるよ。応援してくれる人がたくさんいるからね、もうやめられねぇべ」そう笑います。

たまふくら

(取材・文/山本直美)

たまふくら